講座の紹介     ~子ども会議

子ども会議は特に治療教育の分野で取り組まれることが多く、子どもの身体をよく観察し、実体としての子どもの姿を細やかに言葉で表現し、立ち上がるイメージを共有しながら会議を進めます。そこから、その子どもがもつ特徴を掴み、子どもの周りにいる大人がそれぞれの立ち位置から、その子どものためにできることを探っていきます。

必要なのは、“事実”を読み取る力と行動につながる“ファンタジー”の力だと思っています。そして何より、”共感をもって子どもの中に入り込む力(エンパシー)”です。

治療教育の分野ではもちろんですが、小規模校でもこの子ども会議は大いに助けになります。また、学校や幼稚園だけでなく、家庭での様子を見守るときにも活かすことができます。

それでは、なぜ小さい集団で子ども会議が助けになるのでしょうか。

例えば大きな集団(クラス)だと集団の力が働いて紛れてしまうような課題も、小さな集団のなかでは影響が大きく、課題が際立ってしまうことが多々あります。何らかの原因でその子のなかの弱さや敏感なところが表立って出てきてしまうのです。そのためにうまく遊び込めなかったり、お友だちと一緒に遊べなかったり、学ぶことに支障が出たり、ということが起こります。

例えば「お友達をなぐってしまう」「大きな声でおしゃべりが止まらない」「おもらしをする」「まっすぐ座れない、歩けない」等、気になる徴候が出てきたときに、さてどのように取り組もうか、ということになります。

保育や学校での過ごし方を工夫してみたり、お家での生活を見直してみたり、食べ物に気を配ってみたり、生活リズムを整えてみたり。。。そうやって、親や教師、周りにいる大人が関心を持って見守って、働きかけようとするだけでも大きな変化が見られることがあります。だけど時に行き詰まり、いろいろ試してみても一進一退で答えは見つからないこともあるでしょう。

そんなときには初心に帰って、「子どもを観る」ということをします。この子の目はどんなだろう、手を握った感じはどうか、頭の形は?肌はどんな様子だろう。そうやって、子どもの身体をよく観るのです。子どもの姿勢や歩き方を思い返して真似てみたりして、そうやっているうちに、「ああ!この子はこんな風に感じていたのか!」「こういう風にしてあげられたら、ずっと心地よく過ごせるんじゃないか」と閃きます。この閃きから、一人ひとりが想像力を巡らして子どもに働きかけるとしたら、子どもにとってこれほどの栄養はないでしょう。これ程子どもたちの健やかな成長のために作用するものがあるでしょうか。大人自身のファンタジーの力が今、問われているのです。

今子どもたちが最も必要としていることを探り、ケアすることができる。それは子どもをよく観ることから始まります。

家庭でも、幼稚園でも、学校でも、子どもの過ごす場所が子どもにとって安心できる場であるように、周りにいる大人が暖かい眼差しで子どもたちを見守り、共に働けるように。子ども会議はそのための大きな助けとなればいいなと願っています。

シュタイナー治療教育基礎コース「子ども会議」

Comments are closed.